音大からぽいっと出されて。

日本国内で音楽活動を行うヴァイオリニストの日々。

IMSLP知らなきゃ人生損してる?!プロ奏者が教える使い方。

 

どうも、がおーです。

 

今回は、便利な無料楽譜サイト"IMSLP"について説明していきます。

 

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私が初めてIMSLPの存在を知ったのは、たしか音高に通っていた頃だったでしょうか。

それから音大に進学し、卒業して現在に至るまで、このサイトには、本当に数え切れないほど何度も、お世話になっております。

 

そんな、長年に渡る経験で培ったIMSLPに関する知識を、わかりやすくまとめてみました。

 

 

そもそもIMSLPとは何か?

 

表記通りの「アイ エム エス エル ピー」または「イムスルペ(イムスルプ)」とも呼ばれるIMSLP。

これは「International Music Score Library Project」の頭文字を取った略称であり、「国際楽譜ライブラリープロジェクト」を意味します。

 

楽譜は全て、作曲者に著作権がありますが、これが時効になった(=パブリックドメインになった)ものをネット上で集めて、バーチャルな楽譜図書館を作ろう!というプロジェクトになります。

運営者の名前から「ペトルッチ楽譜ライブラリー」という別名もあるので、「ペトルッチ」と呼ぶ人もいます。(私の周りにはあまりいなかったなぁ。)

 

 

使う前に知っておくべき大前提

 

IMSLPに手を出す前に、知っておいてほしいことがあります。

先程もちらっと出てきましたが、「楽譜は全て作曲者に著作権がある」ということです。

 

著作権に関しては、検索するか「著作権 - Wikipedia」を見てもらうとわかると思うので、詳しい説明は省きます。

 

ここで大事なのは、著作権は国によって期間が違うということ。

日本は、作曲者の死後70年間。

ヨーロッパは大体が、日本と同じ70年間。

最長はメキシコの、100年間。

 

 

つまり、とある国から「ワイの国ではこの作曲家は著作権切れたから楽譜載せとくで〜」と置かれた楽譜が、別のとある国ではまだ著作権保護期間だったりもするのです。

そしてIMSLPは、それを国ごとに制限できません。個人の判断に委ねるしかないのです。

 

※ちなみに期間内であっても、その著作権保有者が「期間内だけど私は著作権を放棄するよ!みんな自由に使って〜!」と宣言している場合は、つまるところパブリックドメインになったということなので、共有することができます。どしどし無料で利用しましょう。

 

 

内容に直接は関係ありませんが、実は"日本の著作権が死後70年間"というのは2018年に改正されたもの。それまではなんと20年も短い"死後50年間"だったのです。

なので現在、2018年の20年後である2038年までは誰も著作権が消滅しない、という時期に入ってしまっています。仕方がないことですが、なんだか悲しいですよね。

 

 

IMSLP おすすめの使い方

 

ここまでの前提はしっかり読んでいただけましたか?

頷いてくれたアナタ。ありがとうございます。

それでは早速、使い方を説明していきましょう。

 

①楽譜を検索する

IMSLPのトップページから検索をかけることも可能ですが、私は検索エンジンGoogleYahoo!など)から直接飛ぶことをお勧めします。

 

それから、検索するときは英語で打ち込みましょう。IMSLPのサイト自体は日本語対応していますが、楽譜の情報は英語で登録されているためです。(英語表記がわからない場合は、それを調べるところからスタートです!勉強にもなって一石二鳥だよ!よく使う作曲家名や単語は覚えちゃおう!)

 

ベートーヴェン交響曲第5番「運命」が見たい場合はこちら。これくらい有名なら問題ないのですが、作品によっては、作品番号が最も楽譜に辿り着きやすい住所となっているので、記載するとより見つけやすいでしょう。↓

 

例:imslp beethoven symphony no.5 op.67

 

番号にはこだわらないから交響曲を全て見たいという場合は、ここでストップ↓

 

例:imslp beethoven symphony

 

交響曲だけじゃなくて、ベートーヴェンの作品が全て見たいという場合は、ここでストップ↓

 

例:imslp beethoven

 

 

 

②楽譜のページを開く

欲しい楽曲のページは出てきましたか?

上部に曲名と作曲家名が大きく書かれたページが出てきたと思います。下へスクロールしていくと、まず[演奏]という項目があり音源が付けられています。それをさらに下へスクロールすると、[楽譜]という項目が出てきましたね。あなたが欲しい楽譜は、ここにあります。

 

[楽譜]の文字のすぐ下には、2, 3個のタブがあると思います。

[運命]の場合は、

【Scores(17)】【Parts(28)】

【Arrangement and Transcription(52)】

といった具合です。これはそれぞれ、

【総譜】【パート譜

【(運命を元にした)編曲】

を意味しています。

カッコ内の数字は、サイトに登録されている楽譜の数です。さすが「運命」は有名なので、楽譜の数も多いですね。

 

「運命」の総譜が17もあるってどういうこと?と思われるかもしれません。

これは、それぞれ出版社が違うんです。

 

Complete Score と見出しが書いてある下に、編集者や出版社、再版、著作権の状態といった情報が書かれていると思います。さらによく見ると、ページ数であったり、楽章の情報が書かれていることもあります。

これらをよく確認して、あなたの必要なものをどうぞ厳選してください。

 

 

 

③楽譜を保存する

「これが欲しい」という楽譜がピンポイントで決まったら、見出しをクリックします。

総譜であれば Complete Score という見出しであることが多いですね。もし第1ヴァイオリンのパート譜が欲しいならば、たくさんあるパート譜の中から Violins Ⅰ という見出しをクリックしてください。

 

すると、楽譜ではなく[Disclaimer(注意事項)]が表示されます。内容をざっくり説明すると、「IMSLPは、この楽譜の著作権が切れてる保証はできないので、もしあなたの国で何かあっても責任は取らないよ。自分の判断で利用してね。下のボタン押したら、これに同意したと見なすよ。やめるなら今のうちやで。」といったことが仰々しく書かれています。

あなたの判断で、大丈夫であれば枠外下の「私はこの免責事項を…ダウンロードを続行します。」という長い青文字のボタンを押してください。

 

すると今度は、IMSLPに対する寄付を募るページになります。

そろそろ楽譜だと思ったでしょう?無料ですからね。そう簡単に大事な楽譜は見せてくれません。

 

しかしその上部か下部にさりげなく、「…秒後にダウンロードが再開します。」の黒文字が書かれているはずです。

最大が15秒で、自動でカウントダウンしてくれます。15秒間見つめていても構いませんし、15秒間は目を離して別のことをしていても構いません。15秒っていうのは、見ていると案外長くて、目を離すと一瞬です。

0秒までいくと、ついさっきまでカウントダウンをしてくれていた文章が「ダウンロードを再開するにはこちらをクリックしてください。」という青文字ボタンに変身すると思うので、そちらを押して完了、ようやく楽譜とご対面です。

PDF形式ですので、あとはご自分の好きな場所に保存して、印刷するなり煮るなり焼くなり、ご自由にお使いください。

 

 

豆知識❶

楽譜のURLをコピーしておくと、「免責事項合意」や「寄付のお願い」などの面倒なページをすっ飛ばして、楽譜に直接飛ぶことができます。

 

豆知識❷

楽譜のURLは開くたびに通信を使います(ブラウザと同じ。)タブレット端末やパソコンなどの画面で見るだけだとしても、今後何度も開くことがわかっている場合は、ダウンロードして端末内に保存しておいた方が、通信量を気にする方はもちろん、電波状況が悪い時にも見ることができるので、おすすめです。

 

 

まとめ

いかがだったでしょうか。

音高時代からウン年間経験を積み重ねてきた、私なりのIMSLPの使い方を書いてみました。

わかりにくい点、至らない点があったら申し訳ありません。

訂正はいつでもどこでも入れますので、何かあればコメントください。

 

 

雑記ではありますが、他の記事もぜひ読んでみてくださいね。

 

 

 

がおー